〈授業の目的〉
この講義では古代から近現代に至るまで韓国の歴史を総合的に詳しく見る。韓国は長い間東アジアの各地域と多様な交流活動を続けて来ながらこれと同時に内部の人々の共同体意識を強固にしてきた。これに20世紀初めの自国主義の列強の利権を侵奪で日本の植民地支配を受けたのにも関わらず、韓日武装闘争と政府樹立運動をしっかり展開し8.15解放を迎えた。以降70年以上の間民主化と産業化を成し遂げ、世界のメンバーとしての地位を確立した。受講生は講義を通じて韓国人の歴史的経験を理解し、韓国の歴史・文化的特徴が今日の韓国社会、さらに世界でどのような意味を持っているのか考える機会を持つ。
〈各回の授業の内容・計画〉
1週目:韓国史の概括とオリエンテーション
(授業内容)
₋講義と評価方法の説明
₋世界の中での韓国を考える、韓国を通じて世界を振り返ろうとする努力が必要な理由を理解する。
2週目:タングン神話と古朝鮮の話
(授業内容)
「三国遺事」に記録されているタングン神話の内容とその意味について詳しく見る。
₋古朝鮮の成立と発展、衰退過程を理解し周辺国の交流の様子を考える
₋タングン神話が今日の韓国人にどのように記憶されているかいくつかの媒体を通して理解する
(資料:タングン神話に登場するニンニクとヨモギの正体)
3週目:三国の成長と東アジアの交易
(授業内容)
₋4~6世紀にかけて高句麗、百済、新羅と代表する古代国家の成立と発展、三国の領土戦争がどのように展開されたのか詳しく見る。
₋高句麗・百済・新羅の政治、社会構成、代表遺物と遺跡などを学習する
₋三国の領土競争をする過程で東アジア国家とどのような軍事、文化交流を続けていったのか考える。(資料:張保皐と海上貿易)
4週目:統一国家高麗の登場
(授業内容)
₋太祖王権が豪族勢力を集結し高麗王朝を樹立した過程を知る
₋1・2・3次にかけて高麗ー元(モンゴル)戦争の過程を見て外部侵入に対抗し内部の結束を固めるため実施された政策の内容を考える
₋本貫と姓氏、結婚洋式、仏教と関連した概念と文化遺産など高麗の生活様式が今日の韓国の伝統文化を築く根幹になったことを理解する
5週目:朝鮮の建国と制度の整備
(授業内容)
₋朝鮮王朝の政治理念である性理学が国家の運営全体に及ぼした影響を詳しく見る
₋漢城と都城の建設計画について詳しく見る
₋試験を通して官職に進出する官僚制の特性について理解しこれを今日の能力主義と比較してみる(資料:科挙と能力主義)
6週目:儒教文化の拡散
(授業内容)
₋朝鮮の支配層である両班が形成した過程と彼らが目指した儒教の支配の内容を理解する
₋二回の戦争と朝鮮の戦乱の収拾策について詳しくみる
₋家父長の家族制度が全社会に拡大して行った様子を考える
(資料:東人と西人、徒堂の形成)
7週目:変化のための多様な模索と民衆の成長
(授業内容)
₋朝鮮の庁についての認識が「北伐」から「北学」に変化する過程を通して世界を眺める観点が拡大されたことを理解する
₋英祖と正祖大王の実施されたタンピョン政策を通して国王中心の政治秩序の確立について考える
₋産業の発達と身分秩序の動揺を背景に民衆文化が発達したことを詳しく見る
(資料:出版文化の拡大:ハングル小説から)
8週目:現地学習
(授業内容)ソウル歴史博物館予定〔講義中に決定〕
(評価方法)報告書
9週目:世界と出会う朝鮮
(授業内容)
₋19世紀の挑戦が向き合った内部の危機(民乱の発生)と外部からの危機(西洋勢力の登場)の実状について詳しく見る
₋江華島条約(1876)以降西洋と日本の朝鮮半島侵入と植民地化過程について探るex)日清戦争(1894)、日露戦争(1904)
₋朝鮮で国を守るために義兵運動と国債報償委員会などの国権回復運動が展開されたことを理解する
(資料:YMCA野球団と身分制)
10週目:日本の植民地支配と独立運動
(授業内容)
₋大日本帝国主義の無断統治の内容と3.1独立運動の展開過程について詳しくみる
₋3・1独立運動で樹立された大韓民国臨時政府の役割と意義を把握する
₋反日武装闘争の展開過程を映画などを通して興味深く近づいてみる
(資料:憲法に提示された3.1独立運動)
11週目:大韓民国政府樹立と分断
(授業内容)
₋今日の韓国が分断国家として存在する敵視的背景について考える
₋解放以降の南韓と北韓の単独政権が樹立した過程について探る
₋解放以降の南北分断が行き詰まり韓国戦争が勃発した過程を理解する
(資料:DMZ,38度線で京義線の復元まで)
12週目:韓国の産業化と民主化(1)
(授業内容)
₋東アジアに形成した冷戦体制を土台に南・北韓で独裁体制が登場したことを確認する
₋李承晩政権の3・15不正選挙が4.19革命に至るまでの糧異を詳しく見る
₋朴正熙政権が実施した経済開発5年計画の内容について探り、経済開発が韓国の産業構造に及ぼした影響を理解する
(資料:韓国大企業の歴史)
13週目:13週目韓国の産業化と民主化(2)
(授業内容)
₋80年代の韓国経済が低金利・低石油価格・低ドルの「3低」の形成に力を入れ大きく成長したことを詳しく見る
₋80年「ソウルの春」と「5.18民主化運動」の展開過程について調べ、これを扱う映画と小説に触れてみる
₋87年「6月民主抗争」の実状と歴史的意味について調べ、これが今日の韓国の政治構成を形成した契機だったことを理解する
(資料:小説「少年が来る」)
14週目:主題発表についてのモジュール活動
(授業内容)
₋研究深化のための資料検索、原文確保の仕方などを知るex)学問的に信頼できる資料を探す方法(RISSまたはグーグルブックスなどを通して論文を検索する方法、国史編纂委員会私たちの歴史ネットの活用方法など)
₋深化研究、歴史・文化コンテンツを起承転結に合わせて構成する方法を知る
ex)研究の場合、①研究遂行の必要性②研究遂行で焦点を合わせようとする部分③研究内容④研究遂行を通して新しく知ったこと⑤これからより遂行しようとする内容
ex)コンテンツの場合、①韓国の歴史や文化、観光などでこのコンテンツが持つ意味②このコンテンツを開発しようとした理由と目的③開発したコンテンツの内容④コンテンツ拡張の可能性など
₋4~5人ずつチームを組み構成した研究やコンテンツ内容を紹介し、互いにフィードバックする時間を設ける
15週目:個人またはチーム別発表
(授業内容)
-作成した深化研究またはコンテンツの内容を発表して教授と受講生の質疑、応答の時間を設ける
₋発表した内容は追加修正を受けlmsに掲示し最終評価を行う
₋発表を終えた後、受講生の今学期に対する感想を共有し最後の授業を修了する
〈テキスト・教科書〉
外国人のための韓国の歴史と文化(2018)
外国人のための韓国史(2021)
〈成績評価方法〉
出席(10%)、授業態度(25%)、課題1〔資料の要約、発題〕(25%)
発表〔深化研究またはコンテンツの企画、発表〕(40%)