月次報告書 2023-04
プロフィール
学科
イベロアメリカ言語学科
学年
3年
専攻
ブラジル・ポルトガル語専攻
留学期間
2023-03-01 ~ 2023-12-31
留学種別
交換
生活編
“感”じた1ヶ月

 今月は生活に少し慣れてきたからか、色んなことを感じ、考える余裕ができた。先月は行わなければならないことがたくさんあり、日常を淡々と過ごすことで精一杯だった。3月の私は既に“もう生活に慣れたかも”と思い込んでいたが、後になって考えるとそんなことはなかった。2ヶ月目は1日1日も、1ヶ月も短く感じた。この調子で留学10ヶ月間が走っていってしまうと考えると恐ろしい。光陰矢の如しであるため、毎日を充実させたい。 [生活] ・祝日(Semana Santa)  4月2日から4月9日までの一週間はSemana Santa(聖週間)で大学がお休みだった。その休みを利用して、私は連邦警察に再び行き、RNMを申請した。そしてようやくプロトコルを取得することができた。プロトコルは、RNMのカードができるまでの間、身分証明書の代わりとなる紙である。RNM番号が記載されており、その番号を使ってBilhete Unicoを申請した。Bilhete Unicoは日本で言うSUICA、PASMOのようなもので、サンパウロの公共交通機関で使用する。学生用Bilhete Unicoを持っていれば、バスや地下鉄を半額(基本的には2.20レアル)で利用することができる。私はプロトコルでカードを申請し無事受け取りまでできたが、他の日本人留学生たちはRNMのカードが必要だったらしく、申請を拒否されていた。不思議である。私はラッキーだった。  RNMを申請後、1人で高速バスに乗り、4月6日から4月9日までジュイス・ジ・フォーラに行った。目的としては、ジュイスに留学している同じ交換留学生の友人や、昨年KUISに半年間留学していたブラジル人の友人2人に会うためである。Tieteのターミナルで片道149レアルのバスに乗り、約8時間かけて行った。日本に比べ座席が広く、足も伸ばせて座席も充分倒れた。おそらく日本人とブラジル人の体格差が関係しているのだろう。バスの中では隣の方と少しだけお話をした。ジュイスに着き、久々に友人たちの顔を見てとてもホッとした。無意識のうちに、今までどれだけ緊張していたのかを自覚した。  私から見たジュイスは、学生の街なだけあってサンパウロに比べると昼間は安全なイメージだった。(ブラジルはどこも安全ではないことは前提として) 街を歩いているとき、後ろを振り向く癖がここ1ヶ月で私には既に染み付いていたが、友人はそうではなく、やはり治安や環境含めてかなり違いがあるのだなと感じた。またUSPはジュイスや他の大学に比べて日系人が多いからか、「日本人だ!」とたくさん話しかけてくれることはあまりない。そのため当たり前ではあるが自分から話しかけることが大切であると感じる。 3日間は、友人が通っている大学を案内してもらったり、スーパーにたくさんぶら下がっているChocolate Ovo de Pascoaという大きいチョコレートを選んで食べたり。Central(たくさんお店が並んでいる市場のようなところ)でプリンを食べたり、おしゃれなカフェとバーに行ったりした。ブラジルにおしゃれなカフェがあることにはとても驚いた。ブラジル人留学生の友達は、久々に会っても温かい人達だった。 ・余暇の過ごし方  平日は授業を受けた後お昼ごはんを食べ、そのまま図書館に行き勉強をして夜ご飯を食べて帰るという生活をしている。毎日図書館に通っているため、図書館の受付の方にも名前と顔を覚えてもらえ、よくお話をする。USPには、日本語を学んでいるブラジル人が日本語を話す練習をするために集まる「お話し会」(MULCのチャットタイムのようなもの)があり、そこに毎週参加している。毎週ペア1組ずつ(ブラジル人と日本人)プレゼンテーションを行い、その内容についてポルトガル語1時間、日本語1時間で話し合うものである。日本語がとても上手な方もいれば、まだ始めたばかりの方もいて、コミュニケーションのとり方がとても勉強になる。    予定のない日曜日には徒歩15分のところでフェイラ(ミニ市場)が行われているので、そこでpastelとcaldo de canaを食べ、安いスーパーに寄って買い物をして、お気に入りの安い棒アイス屋さんに寄って帰るというのが日常になりつつある。私が行っているフェイラは、お客さんとお店の人の距離が近く、優しい人たちが居て私はとても気に入っている。フェイラにはほぼ毎週のように通っているため、すぐに認知してもらえ、少しだけお話ができるようになった。ちなみに、フェイラがどこでいつ行われているのかは、マップで調べることができる。  授業は基本的に午前中で終わりなため、たまにどこかへ出かけたりする。ブラジル人の友人と映画館に行き「鬼滅の刃」を観た。ポルトガル語の字幕付きのもので、内容は殆ど見たことがあるものだったため、聞こえてくる日本語と字幕のポルトガル語を見て表現の仕方を楽しんだ。 また、ある日は、カポエイラのイベントが近くであったため、初めて生で観ることができた。深い知識がないので、純粋にすごいという感想しか出てこなかったが、本当にすごかった。 [通学]  大学に通い始めて1ヶ月経ち、もうすぐ引っ越しという時に徒歩25分ほどで大学に通えるルートを知った。大学まで行く駅からのバスは、1限のときには長蛇の列になるため授業に間に合うように早起きしなければならなかった。しかし徒歩ルートに変えてから少しゆっくり寝ることができるようになり、途中には猿を見ることのできる場所もあり、自然も多くて良い気持ちで登校できる。 [授業]  私が履修したブラジル文学Iの授業は、やはりとても難しくノートさえも取ることができない。友人が私のためにノートを書いてくれ、そのノートを元に毎日図書館で翻訳したり内容を理解しようと必死だが、理解できたようで理解できない。「ブラジル近代芸術週間」について出てきたので、それについて調べていると自分の中で隔てていた点と点が繋がり、ノートに書かれた内容について理解ができた。言葉の問題だけでなく、ブラジルについての知識が欠けているなと感じた。日本文学、日本文化に関しては、内容は既に日本で学習した内容ではあるため、ポルトガル語を聞き取ることに集中できる。やはり内容を知っていると、心做しか理解がしやすい。今まで知らなかったことを新たに学ぶこともあり、また内容について仲の良いブラジル人と話し合うこともあり、勉強になる。KUISでの授業と比べるとやはり発言が多く、生徒は積極的である。また、自分の意見を言うことに恥ずかしさを感じていないように見えるのがとても良いと感じた。私も授業で発言をしたいが、未だうまく言葉にできないのが悲しい。 [食事]  普段歩く地域のこと(どこが危ない、人が隠れられる場所があるかどうか、人の気がないなど)について把握できてきたため、お昼だけでなく夜ご飯も学校で食べて帰るようになった。休日は外食をするか、自炊をしている。時間があるときは15分程歩いて、少しでも安いスーパーに行くようにしている。 [住居]  私は元々4月中旬まで1つ目の住居に滞在する予定だったが、なかなか良い場所が見つからない上に、充分な時間をとることができなかったため、結局5月まで滞在を延長することになった。USPの学生は2、3月と7月に家を引っ越しする人が多いようで、既に埋まっている部屋が多かった。空いているのは基本的に治安が悪い地域ばかりであるため、住居探しは時期に気をつけたほうが良いと感じた。Facebookでたくさん住居を探し、6軒ほど訪問して、最終的に「SHARE」という名前の少し高い学生マンションに住むことに決めた。  SHAREは駅から徒歩五分で、スーパーもバス停も近いためとても良い。セキュリティが強く、プールやシュハスケイラ、ジムや勉強ルームなど、設備が整っている。お部屋のタイプはおおまかに3種類あり、2人でキッチン浴室共用の部屋(個室なし)、4人でキッチン浴室共用の個室ありの部屋、1人で住める部屋がある。私は4人で共有する部屋に住むことにした。値段は上記の順に2150レアル〜3550レアルである。都内で一人暮らしをするくらいの値段だろうか。(ただし、洗濯乾燥合わせて毎回16レアル追加で掛かる。) *写真左は、スーパーの中にたくさんぶら下がっているovo de páscoaのチョコレートの写真 写真右は、放課後に観に行ったカポエイラの写真 ※以下はサンパウロへの留学を考えている方へ。参考までに知っておいた方が良い情報を掻い摘んで書いています。(上記と重複有り) あくまでも私の知見です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー [Bilhete Unicoの申請(日本のsuicaのようなもの)]  オリエンテーションで配られる資料にBilhete Unicoの申請方法は書かれています。申請にはRNMが必要となるため、早めにRNMの手続きを済ませると交通費が安く済みます。学生用Bilhete Unicoを持っていれば、バスや地下鉄を半額(基本的には2.20レアル)で利用することができます。私はRNMプロトコル(紙の仮身分証明書)で本人確認が通りましたが、他の留学生はプロトコルではなくRNMのカードが必要であったために拒否されました。RNMのカードを受け取るまでには時間を要するため、試しにプロトコルで申請してみると良いかもしれないです。 [住居]  USPの学生が住居を変える時期は2、3月そして7月であるため、住居を探す時期には注意が必要です。留学が正式に決まり、住居が決められるような状況になったら早めに探し始めることをおすすめします。より安全な地域、危険な地域については今わかっている以上に、滞在している間に情報収集をする予定です。 私は留学を早くに決めていて、貯金をしており、少しだけ住居を選ぶ余裕があったためSHAREに住むことができました。留学を少しでも考えている方は、少しずつ貯金をすると良いかもしれません。 [留学する地域について]  ジュイスに行って感じたのは、当たり前ではありますが地域によって大学などの環境、そして治安は違います。他の協定校の地域は行ったことがないためわかりませんが、それぞれの良いところがあるので、先生などに聞いてみて学びたい内容を含めどこが良いか考えてみてください。

住居形態
その他 Airbnb
無線LAN(Wi-Fi) その他 wifiはあるが、不定期で切れる。
月額費用
ブラジル レアール
27.555円
内訳 費用(現地通貨) 日本円換算
家賃 2,516 69,328円
水道光熱費 0 0円
学費・教材費 0 0円
交通費 726 20,005円
通信費 35 964円
食費・その他 961 26,480円
合計 4,238 116,777円
授業編
Brazilian Literature I
ブラジル文学1
講義(地域言語)
720分
受講人数は約70名弱。教授が生徒に問いを投げかけ、生徒が自発的に回答をする。次の授業までに読まなければならない図書が提示され、多くて二冊(部分的に)、200ページ程度。読書及び理解を含めて、授業を受けるためには予習が必須である。この授業はUSPの学生にとっても難しい内容である。 <授業内容> 4/10 -Mário de Andrade "PaulicéiaDesvairada"(1922) 20 世紀初頭の地方主義とサンパウロ社会が分析された数々の詩をもとに、ヨーロッパの前衛芸術を変形・利用しながらブラジルの内面について考える。ハーレークイーンについて。 4/13 - Mário de Andrade "PaulicéiaDesvairada"(1922) マリオ最初のモダニズム作品。数々の詩をもとに、ヨーロッパの前衛芸術を変形・利用しながらブラジルの内面に焦点を当てる。また本と作者について書かれた批評文を読み、作者や作品についての客観的な考察を行った。カボチ二ズム主義について。 4/17 - Mário de Andrade "PaulicéiaDesvairada"(1922) 数々の詩をもとに、ヨーロッパの前衛芸術を変形・利用しながらブラジルの内面に焦点を当てる。 またオズワルドの作品をもとに、パウ・ブラジル及びモダニズムについて考えた。 4/20 - Mário de Andrade "Clã do Jabuti"(1927) Paulicéiaよりもさらに視野エオ広げて書かれた詩から、ブラジルの様々な地域の人の生活に焦点を当てる。ブルジョワについて。 4/24 - Mário de Andrade "Clã do Jabuti"(1927) Paulicéiaよりもさらに視野エオ広げて書かれた詩から、ブラジルの様々な地域の人の生活に焦点を当てる。 4/27 -Mário de Andrade "Macunaíma"(1928)"Clã do Jabuti"よりも更に、ブラジルの問題意識に焦点が当てられた詩。詩についての分析及び詩をもとにブラジル社会について考える。
Japanese Culture I
日本文化Ⅰ
講義(地域言語)
360分
受講数は70人程度。授業の内容は、日本の歴史を勉強していく中で日本の文化について知っていくというもの。日本について学ぶ授業ではあるが、講義、資料ともにポルトガル語で行われる。日本での歴史の授業で学んだ内容は勿論、初めて知る内容も多く、面白い。教授がスライドを見せて講義をする講義形式であるが、合間に問いを投げかけられたりコメントを求められ、それに対して生徒たちは自主的に答える。授業を受けている生徒は皆日本語専攻の生徒で、授業内での発言を聞く限りでは自分で興味を持って調べている方達も多いようである。この授業も同様にスマホを見たり動画を見ていたりする人はおらず、皆真剣に授業を受けている。 授業3回ごとに、1つ課題が出る。3つの問いの中から1つ選び、それについて10-15行程度で答える。 <授業内容> 4/11 - 奈良時代の神道 4/18 - 仏教徒中国文明の関わり 4/26 - 大和政権と聖徳太子
Japanese Literature I
日本文学1
講義(地域言語)
360分
受講者は25人程度。授業で学習するのは19世紀半ばから20世紀初頭までの日本で有名な作家(夏目漱石、樋口一葉、芥川龍之介など)が書いた日本文学作品について。学ぶのは日本文学についてだが、講義も本も全てポルトガル語。毎授業文学作品について触れる前に、その文学を描いた著者の生い立ちについて学ぶ。毎週次の授業で扱う文学作品の読書課題が提示される。その本は日本の文学作品がポルトガル語に翻訳されたもの。授業内ではその内容が抜粋され、その内容に基づいて筆者が持つ特徴的な文章や表現について学んだり、それだけでなく当時の社会背景や日本の文化も学習する。教授がスライドを元に講義をした後に、本から抜粋された文章が提示され、それを元に生徒同士で互いの意見を交換する。 <授業内容> 4/12 - 坊っちゃん(1906年)-パート2 4/19 - 森鴎外(1862~1922)-カズイスチカ(1911年) 4/26 - 樋口一葉(1872~1896)- わかれ道(1895)
Aspects of Brazilian Culture I
ブラジル文化の側面Ⅰ
講義(地域言語)
240分
受講人数は約20名。外国人留学生のために行われるブラジルの文化について学ぶ授業。同じ教授が一貫して行う授業ではなく、毎回教授は異なり、それぞれブラジル文化の異なるテーマについて学ぶ。特に話し合いの活動はなく、教授が120分間講義を行う。 <授業内容> 4/14 - カエターノ・ヴェローゾの歌に見る国家と外国 4/28 - ブラジル文学における詩的工学の記号論のために