留学成果報告書 2024-07
プロフィール
学科
イベロアメリカ言語学科
学年
4年
専攻
ブラジル・ポルトガル語専攻
留学期間
2024-03-01 ~ 2024-07-31
留学種別
交換
総括編
ブラジル・ブラジリア留学のまとめ

【派遣先大学について】 (1) 基本情報 ・設立年  →1962年 ・学生数  →約48,000人 ・設置学部  →看護学、薬学、理学療法学、言語聴覚療法学、集合医療学、作業療法学、管理学、農学、建築学および都市学、アーキボロジー、舞台芸術学、視覚芸術学、司書学、バイオテクノロジー学、コンピュータ科学(BA)、政治学、環境科学、生物科学、会計科学、経済科学、薬学、社会科学、コンピュータ科学(教職課程)、組織コミュニケーション、社会コミュニケーション – 広告とプロパガンダ、社会コミュニケーション – 映像・音響、デザイン、法学、体育、看護学・産科、環境工学、土木工学、コンピュータ工学、通信ネットワーク工学、生産工学、電気工学、林業工学、機械工学、メカトロニクス工学、化学工学、統計学、哲学、物理学、地球物理学、地理学、地質学、公共政策管理、アグリビジネス管理、歴史学、ジャーナリズム、文学、数学、医学、獣医学、博物館学、音楽、栄養学、歯学、教育学、心理学、化学、応用化学、国際関係学、公衆衛生、ソーシャルワーク(社会福祉)、芸術の理論・批評・歴史、観光学、航空宇宙工学、自動車工学、エネルギー工学、ソフトウェア工学、電子工学、自然科学、農村教育、環境管理、アグリビジネス管理 (2) 所属した学部、コース、プログラム等(原語および日本語訳)  Ciências Sociais(社会科学部) (3) プログラムの概要 ・履修可能な授業、所属学部選択の制限など  基本的に留学生はほとんどの授業を履修することができる。 ・学部留学の場合:選択した学部・学科以外の授業を履修できるか  基本的に可能であるが、担当の教員に確認することを推奨する。 ・学部留学の場合:語学コースを並行履修できるか  語学コースに関する案内は特になかった。 (4) 大学の雰囲気、留学生や日本からの学生の割合や人数  ブラジリア大学(以下、UnB)は国内トップレベルの公立大学であり、自然豊かで広大な面積を誇るキャンパスは自分が異国の地にいるのだという実感を十分に与えてくれる。オスカー・ニーマイヤーによって設計されたキャンパスは60年以上の月日が流れてもなおその独特な雰囲気を維持している。留学生は他の南米の国々をはじめ、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアと非常に国際性に富んだ学生によって構成される。今学期は私を含めて6人の日本人がUnBで留学生活を送った。 (5) 課題や試験  授業によって変わると思うが、私が履修していた授業では課題が出されたことはほとんどなかった。基本的に出席率、中間試験、期末試験の成績を総合的に算出して評価されるため、課題に追われることはなかったが、授業の復習においてはいくらやってもやりきれないほど大変だった。 (6) 困ったときに相談できたか、相談窓口はどこか、どのようなサポートを受けられたか  私は特に大学側のサポートを受けたことがないのであまり詳しいことは言えないが、留学生はINTという、KUISでいう国際戦略部のような部署があるので、そこでお世話になっている人はある程度いた。 (7) オリエンテーション  学期が始まる前に大学側が開催する留学生向けの大学説明会があり、留学生たちはそこで顔合わせを行い、また担当の教員たちに疑問点を質問する。 (8) 履修登録  留学生は授業開始日から2週間、興味のある授業を好きに見て回ることができる。この期間内に一通り履修科目の候補をまとめ、INTに行き担当の職員と一緒に登録する。 【自身の留学について】 (1) 留学を決意した理由  私が神田外語大学に入学した理由は「とにかく大学に入り、のんびり学生生活を送りたかった」ためであり、ブラジル・ポルトガル語専攻を選んだ理由は「ブラジルは格闘技が強い」からである。ただの田舎育ちの格闘技オタクには叶えたい夢もなければ、達成したい目標すらもなかった。ブラジル留学に関しても似たようなものである。「留学生活を通して成し遂げたいこと」と言われてもあまりピンとこなかったし、留学後の自分に期待することも特になかったような気がする。ただ、そんなあの頃の私にも「今の自分にできることを精一杯こなす」というモットーがあった。将来のことなど何も分からないし、それ以上に目先のことすらあまりよく見えていない。物事の選択肢も、入手できる情報量も格段に増えた現代だが、高度に発展したこの社会において、私は一種の居心地の悪さを抱えていた。何をすれば良いのか、逆に分からなくなってしまったのである。留学生活はそんな私を言語も文化も全く異なる環境に投げ飛ばし、今まで抱えてきた悩みをも忘れさせてくれるような、かけがえのない経験を与えてくれた。留学を決意した本当の理由というのは、実際のところないのかもしれない。ただ「やらない後悔よりやる後悔」という言葉を信じて飛び込んでみただけなのだ。 (2) 留学先を選んだ理由  仲の良い友人がサンパウロ大学を志望していたというのがUnBを選んだ大きな動機である。心の支えがあることは精神的にも物理的にも非常に良いことではあるが、そこに気の緩みが出てしまうのではないかと考えあえてUnBに留学することを決めた。また日系人寮で生活することができるというのも大きな魅力の一つであった。 (3) 留学のためにした準備/しておけば良かったと思う準備(学習面)  留学のためにした準備は最低限のことを除いてほとんどない。あえて挙げるのであれば、留学前は日本での生活をできる限り楽しんだ方が良い。半年間、あるいは一年間、日本とは全く異なる文化に揉まれながら生活する必要があるため、それまでに精神的なコンディションも整えておくと良いと思う。またポルトガル語の学習はもちろんのこと、留学先で履修する授業に関連のある分野を事前に予習しておくことを強く勧める。  (4) 留学のためにした準備/しておけば良かったと思う準備(生活面)  ブラジリア大学に留学する人は基本的に日系寮を用意してもらえるので、特に住居探しをする必要はない。 (5) 留学中の交友関係  日本人留学生は現地の日本語専攻の生徒と交流を持ったり、同じく日系寮に住むUnBの学生と仲良くなることが多い。寮生活のメリットとして、寮の友だちが学業面や生活面で親身にサポートしてくれることが挙げられるが、これはUnBに留学することでしか得られない経験だと思う。寮内で行われるイベントも多くあり、楽しい瞬間を共有することができる。 (6) 授業についての全般的な感想、学んだこと  現地の学部生と同じように授業を受けることは想像通りかなり大変だった。最初の頃は内容は理解できなくてもよく使われる単語や用語だけは覚えようと、片っ端からノートにメモしていた。ポルトガル語さえできれば問題なく過ごせるのはあくまで「ブラジル・ポルトガル語専攻」の中だけで、実際に留学先の授業についていくためには授業内容についてある程度知識が必要である。日本語ですら理解していない、もしくは知らない事柄をポルトガル語で早口で説明されても、それは誰もついていくことができないだろう。  ブラジル人学生は授業中積極的に先生に質問をしたり、学生同士でディスカッションしたりして、お互いの意見を頻繁に交換する。これは日本の大学では、少なくとも神田外語大学の授業においてはあまり見られない光景だろう。「間違ったことを言って恥をかいたらどうしよう」というよりも「もっとみんなの意見を聞いて学びを深めたい」という志向の方がよっぽど強いのかもしれない。 (7) 授業外で参加した活動  私は格闘技に興味があったので、ブラジリアン柔術のアクティビティに参加した。基本的な動作や技を学ぶぶことができ、振り返ってみればなかなか恵まれた環境で練習できたと感じる。インストラクターが一通り説明し、そのあとぺアを組んで実践するという練習スタイルであった。練習が終わると遅い時間だったこともあり、いつも練習仲間が寮まで車で送ってくれた。 (8) 授業外の活動についての全般的な感想、学んだこと  ブラジリアン柔術のアクティビティを通して他学部の生徒たちと少し話すことができた。日本人であることに非常に興味を持ってくれたため、こちらとしても練習に楽しく打ち込むことができた。 (9) 留学で達成した最も大きなこと  留学生活を通して「自分の扱い方」がとても上手くなったと実感している。語学力や自己管理能力などももちろん伸びたとは思うが、それ以上に自分自身のことをよく知ることができた。疲れている時や、ストレスが溜まっているときに、自分を追い込みすぎないようにしたり、完璧主義を求めず物事は「70点」こなせていれば良いと考えるようになった。凝り固まった考え方や感受性を変えることは今までうまくできなかったが、新しい環境で新しい仲間たちと過ごすうちに、より肩の力を抜いた生き方ができるようになった。 (10) 今後どのような学習を継続していきたいか  ブラジル留学中は「話す」ことに特に力を入れていたため、文法や語彙の学習にあまり時間を割かなかった。おかげで基本的な会話は支障なくこなすことができるようになったが、今後は語彙力を増やし、中級以上の文法事項についても理解を深めていきたい。 【渡航・滞在先住居について】 (1) 派遣先への出願  大学側が定める期日までに必要書類を提出すれば特に問題ないはずだが、できれば早めに行動しておくことを勧める。 (2) ビザ申請  ビザ申請から受け取りまでに要する時間は時期によって異なるが、私の場合は3日ほどで受け取ることができた。 (3) 航空券を予約した方法  航空券はショッピングモールにあるJTBで購入した。帰りの日にちを後に変更することができる往復航空券を選んだ。 (4) 渡航したルート  成田国際空港→チューリッヒ(スイス)→サンパウロ→ブラジリア (5) 最寄りの空港から大学または住居までの移動  空港まで大使館関係者の知り合いの方が迎えに来てくださり、寮まで送り届けてくれた。 (6) 滞在先住居を探した方法  日系人寮を紹介してもらえたため住居探しは特にしなかった。 (7) 滞在先住居についての詳細  寮に関しては3月の報告書で詳しく書いたためそちらを参照していただきたい。基本的には二人部屋で生活することになる。食堂、洗濯場、シャワールーム、リビングは共用である。寮自体はかなり古いが、部屋の清潔度は住人によって異なる。学校までは徒歩で20分から30分ほどであり、自転車を利用している人もいた。 (8) 滞在先についての感想、アドバイス  ブラジリアは雨季と乾季が明確に分かれており、5月から9月は一切雨が降らずにかなり乾燥するが、10月から4月はほとんど毎日夕方になると雨が降る。首都とはいえど治安の面ではまだまだ問題が多く、常にある程度の緊張感を持って生活する必要がある。交通面ではバスやUberを利用していた。 【滞在国・地域での生活について】 (1) 現地での支払方法や現金の調達  友人にはWISEのカードを使用している人が多かった。私の場合は親に日本でBB(Banco do Brasil)の口座を開設してもらい、そこからブラジルのBBの口座にお金を送ってもらっていた。ブラジルではカード払いがほとんどなので、クレジットカードを2枚持っていくと安心である。 (2) 携帯電話  ブラジルに到着してすぐに知り合いの人に付き添ってもらい、ショッピングモールの中にあるVivoというキャリアで契約した。Vivoの場合はRNM(外国人登録)のカードを持っていないと自分名義で契約することができないので、その点は注意した方が良い。 (3) インターネット  街中や大学内でインターネットに不満を感じたことは特にないが、長距離バスに乗る際や、地下鉄を利用するときは、基本的に電波が通じなくなると思った方が良い。 (4) 医療  ブラジリアに住んでいたときにホームレスの野良犬に噛まれて狂犬病ワクチンの暴露後接種をしたが、ブラジルにはSIS(Sistema Único de Saúde)と呼ばれる無料の公共医療保険制度があり、公立の病院や保健所では無料で診療を受けることができるため、ワクチン代は一切負担しなかった。  ワクチン接種以外で病院にかかったことがないため、あまり詳しい情報を持っていないが、体調を崩したときや緊急事態が発生したときにどのように対処したら良いのかをあらかじめ確認しておくことを勧める。 (5) 日本から持っていくべきもの  私は衣服、筆記用具、電子機器以外に持っていったものがほとんどなく、特に困ったこともなかった。この点に関して私はかなり疎くあまり良いアドバイスをすることができないので、他の先輩の留学報告書を読んだ方が参考になると思う。 (6) 治安状況  留学前オリエンテーションで先生方からもお話があるように、なるべく日が沈む前には帰宅するのが吉。日没前であったとしても、友人たちと連携して複数人で行動することを心がけることを勧める。もし誰かに脅されたとしても、決して抵抗してはいけない。その際は相手を刺激せずに、従順に言うことを聞くべきである。最低限の「してはいけないこと」を守っていれば、死ぬことはない。 (7) 食事  朝食はゆで卵とバナナ、昼食と夕食はRU(学食)で食べていたが、友人たちと近くのレストランやバーに行くことも多かった。UnBに留学する人はほとんどRU食事を済ませるが、寮の弁当を食べることも多々あった。 (8) 情報の入手  現地の情報については過去に留学していた先輩たちに話を聞いた。 (9) 特筆すべき文化や習慣の違い、気を付けるべき点  ブラジルと聞くと治安面で不安を抱える人も多いと思うが、ブラジリアにおいて特段危険な目にあったことはない。気をつけるべきことを最低限守っていれば、大きな問題なく生活を送ることができる。私は日本で寮生活を送ったことがないため断言することはできないが、ブラジリアの日系人寮では夜中になっても騒音を立てる人が多かったり、トイレを使用した後に流さなかったりする人がいたり、人によっては大きなストレスを感じることが多々あった。これはブラジル人の気質なのか偶然なのかは分からないが、寮生活を考えている人は注意した方が良いだろう。そのほかに特に気をつけるべき点は思いつかない。むしろ、ブラジル人は非常に友好的で親切であるという印象の方が遥かに大きい。

留学費用
ブラジル レアール
25.2461円
内訳 費用(現地通貨) 日本円換算
家賃 10,265 259,151円
水道光熱費 0 0円
学費・教材費 0 0円
交通費 1,141.82 28,827円
通信費 552.53 13,949円
食費・その他 18,198.4 459,439円
小計 30,157.75 761,366円
航空券
259,960
保険
117,235
ビザ関連費用
18,000
その他
95,150
合計 1,251,711 円