【派遣先大学について】 (1) 基本情報 ・設立年 →1934年 ・学生数 →約97000人 ・設置学部 →哲学、文学、歴史学、社会科学、デザイン学、法学、経済学、出版学、体育とスポーツ学、教育通信学、看護学、舞台芸術学、視覚芸術学、天文学、経営学、建築と都市計画学、ジャーナリズム学、レジャーと観光学、マーケティング学、数学、応用数学、応用ビジネス数学、応用数学と科学計算学、医学、応用獣医学、応用気象学、音楽、栄養学、栄養と代謝学、産科学、海洋学、歯学、教育学、心理学、広告学、化学、国際関係学、広報学、公衆衛生学、情報システム学、作業療法学、テキスタイルとファッション学、観光学、動物科学、統計学、薬学、経済ビジネス学、物理学、計算物理学、医学物理学、理学療法学、言語聴覚療法学、地球科学と環境教育学、地球物理学、地理学、地質学、老年学、環境マネジメント学、公共政策管理学、食品工学、生体システム工学、コンピューター工学、材料工学、材料製造工学、鉱業工学、石油工学、生産工学、電気工学、物理工学、林業工学、機械工学、メカトロニクス工学、冶金工学、海軍工学、化学工学、航空工学、農業工学、環境工学、生物化学工学、土木工学、食品科学、精密科学、物理・生体分子科学、視聴覚学、バイオテクノロジー学、農業科学、数理科学、生物科学、生物医学、会計科学、コンピューターサイエンス学、自然科学、生物医学情報学 (2) 所属した学部、コース、プログラム等(原語および日本語訳) 哲学・人文・人間科学部(FFLCH)、社会科学専攻(Ciências Sociais) (3) プログラムの概要 ・履修可能な授業、所属学部選択の制限など 基本的に留学生はほとんどの授業を履修することができる。 ・学部留学の場合:選択した学部・学科以外の授業を履修できるか 基本的に可能であるが、担当の教員に確認することを推奨する。 ・学部留学の場合:語学コースを並行履修できるか 有料の授業と無料のものがある。CEFRのレベル別にクラスが構成されており、友人の話を聞いたところによると受講するのであればB2以上を勧める。 (4) 大学の雰囲気、留学生や日本からの学生の割合や人数 サンパウロ大学(以下、USP)は南米トップの総合大学であり、国内各地から優秀な生徒たちが集まる。自然豊かで広大な面積を誇るUSPには通学バスも通っており、まるで欧米の映画に出てくる大学のキャンパスそのものである。日本ではめったに経験することのできない日常を送ることができる。留学生は他の南米の国々をはじめ、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアと非常に国際性に富んだ学生によって構成される。特に多いのはフランス人や中国人で、今学期は私を含めて9人の日本人がUSPで留学生活を送った。 (5) 課題や試験 授業によって変わると思うが、私が履修していた授業では課題が出されたことはほとんどなかった。基本的に出席率、中間試験、期末試験の成績を総合的に算出して評価されるため、課題に追われることはなかったが、授業の復習においてはいくらやってもやりきれないほど大変だった。 (6) 困ったときに相談できたか、相談窓口はどこか、どのようなサポートを受けられたか 私は特に大学側のサポートを受けたことがないのであまり詳しいことは言えないが、留学生はCCINTという、KUISでいう国際戦略部のような部署があるので、そこでお世話になっている人はある程度いた。また体調を崩してしまったときは、大学内にあるメディカルセンターで診察してもらうことができる。 (7) オリエンテーション 学期が始まる前にIN GLOBAという学生団体が留学生向けに大学説明会やキャンパスツアー、その他諸々のイベントを企画してくれているため、留学生同士で親交を深める機会は多いにあるといえる。 (8) 履修登録 留学生は授業開始日から2週間、興味のある授業を好きに見て回ることができる。この期間内に一通り履修科目の候補をまとめ、履修科目登録日にオンライン上で申請を行う。 【自身の留学について】 (1) 留学を決意した理由 私が神田外語大学に入学した理由は「とにかく大学に入り、のんびり学生生活を送りたかった」ためであり、ブラジル・ポルトガル語専攻を選んだ理由は「ブラジルは格闘技が強い」からである。ただの田舎育ちの格闘技オタクには叶えたい夢もなければ、達成したい目標すらもなかった。ブラジル留学に関しても似たようなものである。「留学生活を通して成し遂げたいこと」と言われてもあまりピンとこなかったし、留学後の自分に期待することも特になかったような気がする。ただ、そんなあの頃の私にも「今の自分にできることを精一杯こなす」というモットーがあった。将来のことなど何も分からないし、それ以上に目先のことすらあまりよく見えていない。物事の選択肢も、入手できる情報量も格段に増えた現代だが、高度に発展したこの社会において、私は一種の居心地の悪さを抱えていた。何をすれば良いのか、逆に分からなくなってしまったのである。留学生活はそんな私を言語も文化も全く異なる環境に投げ飛ばし、今まで抱えてきた悩みをも忘れさせてくれるような、かけがえのない経験を与えてくれた。留学を決意した本当の理由というのは、実際のところないのかもしれない。ただ「やらない後悔よりやる後悔」という言葉を信じて飛び込んでみただけなのだ。 (2) 留学先を選んだ理由 前期はブラジリア大学での留学生活を送っていたが、長期ストライキの影響で不安なことが多いなか、サンパウロ大学が後期からの受け入れを承認してくれたため。 (3) 留学のためにした準備/しておけば良かったと思う準備(学習面) 留学前の準備と同じように、願書を作成しメールで送信した。 (4) 留学のためにした準備/しておけば良かったと思う準備(生活面) サンパウロ大学に留学する場合は基本的に自分で住居を探す必要があるので、到着してからすぐにFacebookの学生物件コミュニティに入り常に良い物件がないか探していた。 (5) 留学中の交友関係 日本人留学生は現地の日本語専攻の生徒と交流を持つことが多い。他専攻の生徒と比べて共通点も多く、日本語とポルトガル語の言語交換ができるというメリットもある。また現地で知り合う他大学の日本人留学生とも仲を深めることができるため、日本人留学生と現地の日本語専攻の友だちによる中規模なグループが生まれる。 (6) 授業についての全般的な感想、学んだこと 現地の学部生と同じように授業を受けることは想像通りかなり大変だった。最初の頃は内容は理解できなくてもよく使われる単語や用語だけは覚えようと、片っ端からノートにメモしていた。ポルトガル語さえできれば問題なく過ごせるのはあくまで「ブラジル・ポルトガル語専攻」の中だけで、実際に留学先の授業についていくためには授業内容についてある程度知識が必要である。日本語ですら理解していない、もしくは知らない事柄をポルトガル語で早口で説明されても、それは誰もついていくことができないだろう。 ブラジル人学生は授業中積極的に先生に質問をしたり、学生同士でディスカッションしたりして、お互いの意見を頻繁に交換する。これは日本の大学では、少なくとも神田外語大学の授業においてはあまり見られない光景だろう。「間違ったことを言って恥をかいたらどうしよう」というよりも「もっとみんなの意見を聞いて学びを深めたい」という志向の方がよっぽど強いのかもしれない。 (7) 授業外で参加した活動 私は格闘技に興味があったので、ムエタイのスポーツアクティビティに参加した。本格的に学ぶことができると意欲に燃えていたが、どちらかというとエクササイズの側面が強かったため、あまり満足の行く練習環境ではなかったと感じる。USPにはたくさんの課外活動があるため、もし興味のあるアクティビティがあれば迷わずにまずは足を運んでみることをお勧めする。 (8) 授業外の活動についての全般的な感想、学んだこと ムエタイのアクティビティを通して他学部の生徒たちと少し話すことができたが、留学生だからといって特別興味を持ってもらえるわけでもないと感じた。 (9) 留学で達成した最も大きなこと 留学生活を通して「自分の扱い方」がとても上手くなったと実感している。語学力や自己管理能力などももちろん伸びたとは思うが、それ以上に自分自身のことをよく知ることができた。疲れている時や、ストレスが溜まっているときに、自分を追い込みすぎないようにしたり、完璧主義を求めず物事は「70点」こなせていれば良いと考えるようになった。凝り固まった考え方や感受性を変えることは今までうまくできなかったが、新しい環境で新しい仲間たちと過ごすうちに、より肩の力を抜いた生き方ができるようになった。 (10) 今後どのような学習を継続していきたいか ブラジル留学中は「話す」ことに特に力を入れていたため、文法や語彙の学習にあまり時間を割かなかった。おかげで基本的な会話は支障なくこなすことができるようになったが、今後は語彙力を増やし、中級以上の文法事項についても理解を深めていきたい。 【渡航・滞在先住居について】 (1) 派遣先への出願 大学側が定める期日までに必要書類を提出すれば特に問題ないはずだが、できれば早めに行動しておくことを勧める。 (2) ビザ申請 ビザ申請から受け取りまでに要する時間は時期によって異なるが、私の場合は3日ほどで受け取ることができた。 (3) 航空券を予約した方法 航空券はショッピングモールにあるJTBで購入した。帰りの日にちを後に変更することができる往復航空券を選んだ。 (4) 渡航したルート 往路:成田国際空港→チューリッヒ(スイス)→サンパウロ→ブラジリア 復路:サンパウロ→フランクフルト(ドイツ)→羽田空港 (5) 最寄りの空港から大学または住居までの移動 ブラジリアからサンパウロに到着したときはすでにUSPに留学している同級生が空港まで迎えにきてくれた。空港内で一緒にAirbnbの宿を探し、Pinheirosの滞在先までタクシーで向かった。 (6) 滞在先住居を探した方法 サンパウロに到着して2週間ほどはAirBnBで予約した場所に滞在していた。空いている時間にFacebookのコミュニティを通じて学生向け物件を漁り、大学近くの部屋が掲載されたときにすぐ内見へ行った。ブラジルでアパートの契約をするのは非常にスピーディかつ簡単で、ただ内見に行きお金を払うだけで契約は成立する。 (7) 滞在先住居についての詳細 サンパウロでは社会人の男性とマンションで二人暮らししていた。間取りとしては寝室が二つ、リビング、キッチン、シャワールーム、ベランダがあり、自分の寝室以外は共有して生活していた。運よく新築の物件に住むことができ、ほかにもプールやバーベキューエリア、コインランドリー、バスケコート、シアタールームなど豊富な設備が揃っていた。しかし廊下の電気の不具合がいつまでも直らなかったり、雨が降ると停電したり、ブラジルらしい点もいくつかあった。ブラジルの不動産業者はマンションやアパートを部屋ごとに購入するため、ある部屋は出来上がっているが、ほかの部屋は工事中ということが多々あり、私の上の階の部屋からは朝から夜までずっと工事の音が響いていた。驚くべきことに、私がサンパウロの地を踏んだ7月から退去するまでの1月まで、その騒音が鳴り止むことはなかった... (8) 滞在先についての感想、アドバイス サンパウロ市はブラジル南部に位置する内陸都市であり、夏は一切雨が降らず非常に過ごしやすいが、冬はゲリラ豪雨が発生したり、夜間はかなり冷え込む。ブラジルトップの経済都市とはいえど治安の面ではまだまだ問題が多く、常にある程度の緊張感を持って生活する必要がある。交通面ではメトロが発展しており、料金は距離に関わらず一律なのでとても利便性が高い。 【滞在国・地域での生活について】 (1) 現地での支払方法や現金の調達 友人にはWISEのカードを使用している人が多かった。私の場合は親に日本でBB(Banco do Brasil)の口座を開設してもらい、そこからブラジルのBBの口座にお金を送ってもらっていた。ブラジルではカード払いがほとんどなので、クレジットカードを2枚持っていくと安心である。 (2) 携帯電話 ブラジルに到着してすぐに知り合いの人に付き添ってもらい、ショッピングモールの中にあるVivoというキャリアで契約した。Vivoの場合はRNM(外国人登録)のカードを持っていないと自分名義で契約することができないので、その点は注意した方が良い。 (3) インターネット 街中や大学内でインターネットに不満を感じたことは特にないが、長距離バスに乗る際や、地下鉄を利用するときは、基本的に電波が通じなくなると思った方が良い。 (4) 医療 ブラジリアに住んでいたときにホームレスの野良犬に噛まれて狂犬病ワクチンの暴露後接種をしたが、ブラジルにはSIS(Sistema Único de Saúde)と呼ばれる無料の公共医療保険制度があり、公立の病院や保健所では無料で診療を受けることができるため、ワクチン代は一切負担しなかった。 ワクチン接種以外で病院にかかったことがないため、あまり詳しい情報を持っていないが、体調を崩したときや緊急事態が発生したときにどのように対処したら良いのかをあらかじめ確認しておくことを勧める。 (5) 日本から持っていくべきもの 私は衣服、筆記用具、電子機器以外に持っていったものがほとんどなく、特に困ったこともなかった。この点に関して私はかなり疎くあまり良いアドバイスをすることができないので、他の先輩の留学報告書を読んだ方が参考になると思う。 (6) 治安状況 留学前オリエンテーションで先生方からもお話があるように、なるべく日が沈む前には帰宅するのが吉。日没前であったとしても、友人たちと連携して複数人で行動することを心がけることを勧める。もし誰かに脅されたとしても、決して抵抗してはいけない。その際は相手を刺激せずに、従順に言うことを聞くべきである。最低限の「してはいけないこと」を守っていれば、死ぬことはない。 (7) 食事 朝食はゆで卵とバナナ、昼食と夕食はBandejão(学食)で食べていたが、友人たちと近くのレストランやバーに行くことも多かった。USPに留学する人はほとんどBandejãoで食事を済ませる。 (8) 情報の入手 現地の情報については過去に留学していた先輩たちに話を聞いた。 (9) 特筆すべき文化や習慣の違い、気を付けるべき点 サンパウロでは路上でお金をせびってくる人や、アジア人であることを理由にイジってくる子どもたちもいる。しかし基本的には無視して歩き去れば特に問題が起きることはない。最初のうちはなんとなく気圧されてびびってしまうかもしれないが、怖がっている姿を見せてしまえば絶好のカモだと思われるので「強く」あろう。ほかに気をつけるべき点と言われても正直あまり思いつかないが、生活しているうちに慣れてしまうものがほとんどではないだろうか。
内訳 | 費用(現地通貨) | 日本円換算 |
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家賃 | 9,000 | 227,215円 |
水道光熱費 | 0 | 0円 |
学費・教材費 | 33.96 | 857円 |
交通費 | 656.12 | 16,564円 |
通信費 | 375 | 9,467円 |
食費・その他 | 12,361.61 | 312,082円 |
小計 | 22,426.69 | 566,185円 |
航空券 |
259,960
円
|
保険 |
117,235
円
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ビザ関連費用 |
18,000
円
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その他 |
95,150
円
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合計 | 1,056,530 円 |
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