月次報告書 2025-05
プロフィール
学科
イベロアメリカ言語学科
学年
4年
専攻
ブラジル・ポルトガル語専攻
留学期間
2025-04-01 ~ 2026-01-31
留学種別
交換
生活編
慣れて来た矢先に点滴治療

ブラジルに来てから1ヶ月半が経過し、生活にも慣れて毎日楽しく過ごすことができています。日本では大学、部活、バイト、勉強、遊びと忙しなく過ごしていましたが、こちらでは田舎という環境もあり、ゆったりと余裕をもって生活できていることが最近の喜びです。 日に日に知っていることや場所、友人が増え、自分の世界が広がっていくのを実感しています。もちろんずっとゆったりはしていられませんが、この束の間の1年間を実りあるものにするために努力しつつ、この心の余裕も忘れずに過ごしていきたいと思います。 【① 気候、衣服】 日中はまだ暖かく半袖で過ごせますが、日没後や夜は肌寒い日が増えてきました。地形の影響もあり、日や時間によって気温差が大きいため、体調を崩さないよう注意しています。 今月は雨の日が増えると予想していましたが、実際にはあまり降らず、日本から持ってきたカッパはまだクローゼットの奥で眠っています。 【② 学校生活と授業】 履修登録を無事に終え、本格的に授業がスタートしました。先月は始まっていなかった授業も開講され、勉学に力を注ぐ日々が続いています。 (余談ですが、文化人類学と写真の授業は、結局履修前に体験することができませんでした。こればかりは仕方のないことですが、もし早めに DRI などに相談していれば多少状況が変わっていたかもしれません。今後交換留学される方は、積極的に大学の事務局などに相談することをおすすめします。) 授業を通して次第に友人も増え、授業後に車で食事に連れていってくれる機会が増えました。彼らは、「日本での生活」、「何でブラジルに来たのか」、「何でこの大学を選んだのか」など、日本人がジュイス・ジ・フォーラいることに対しかなり強い興味と関心を持っています。そのため、これらの話題がきちんと話せると、仲良くなるスピードも早いように思います。また、状況に合わせてスラングを使うと、外国人が使ってるという不自然さもあり、場が盛り上がることも多く、良いコミュニケーションのきっかけになっています。 特にサッカーの授業では、月に一度ほど学んだ戦術を実際にフィールドで実践する日があります。一緒にボールを蹴って、言葉以外でも意思疎通をすることで一体感が生まれるため、スポーツ系の授業は友人を作るのにとても良い機会になると思います。 ブラジルの授業は課題が少ない一方で、レポートやテストの比重が大きいのが特徴です。テストは一問一答形式ではなく、設問に対して自分の考えを200〜400字程度で記述する思考力重視の形式が多いように感じます。そのため授業中の内容を必ずドキュメントにまとめるよう心がけています。スライドを使わない先生も多いため、資料なしで理解するのは難しい場面もあります。現在はテスト期間ということもあり、「Whisper」という翻訳・文字起こしアプリを利用して、授業内容の記録漏れが起こらないように工夫しています。 【③ 食事】 食事は、4月に引き続き自炊が中心ですが、夕食の時間帯の学食は、混雑が少ない上に昼にはないパンやスープが付いてくるため、取ってきたパンをスープと食べたりオリーブオイルと塩で食べたりすることで、味のバリエーションを広げ飽きが来ないように工夫しています。 自炊では、各スーパーで手に入る食材や価格感覚が分かってきたため、オムライス、アヒージョ、カレー、親子丼など、日本でもよく食べていた料理を作り、食生活でストレスを感じないよう工夫しています。最近は本格的なアサイーを作るためにブレンダーを購入し、材料を少しずつ変えて「自分にとってベストなアサイー」を研究することが日課になっています。 また、毎週末に開かれるフェイラ(市場)では、日系人家族の方が焼きそば、肉まん、ラーメン、おにぎり、餃子、饅頭、メロンパンなどさまざまな日本食を販売しています。自炊が面倒な方には、平日は学食、週末はフェイラで日本食という生活スタイルをおすすめします。 【④ 生活】 生活では実は苦しい出来事がありました。5月中旬に体調を崩し、最終的に病院で点滴を受けることになりました。 最初は咳と鼻水が少し続くだけだったため、季節の変わり目の風邪だろうと放置していました。しかし数日後、容体が急変し、嘔吐と下痢が止まらず、熱も38.8度まで上がり、自力で動けなくなってしまいました。体調が悪化したため、病院を利用しようとしましたが、地元の病院の利用方法を事前に調べていなかったため使い方が分からず、同じアパートに住む友人に助けてもらい、24時間対応の病院「UPA」へ行くことができました。診察の結果は原因不明でしたが、症状からウイルス性の食中毒かデング熱の可能性があると診断されました。病院では1時間ほど抗ウイルス用の点滴治療を受け、その後4日ほどは固形物を食べられず、病院でもらった塩を水に溶かしたものだけを摂取して過ごしました。 日本でも辛いレベルの病気を異国で、しかも言葉も十分に通じない中で体調を崩すのは想像以上に不安でした。これから留学する皆さんには、少しでも異変を感じたら迷わず病院に行くことを強くおすすめします。躊躇する必要はないので、手遅れになる前に受診することが大切です。 一方で、週末には出かける機会も増え、今月はブラジルに来て初めて友人の誕生日パーティに招いてもらいました。ブラジルの誕生日パーティは、日本とは雰囲気が大きく違います。参加者はお菓子や飲み物を持ち寄り、主催者が用意したご飯やケーキを皆で囲んで過ごすのが一般的で、今回の規模では20人近くが集まりました。 特に印象的だったのは、パーティの終盤に行われたケーキを囲んでのお祝いのシーンです。誕生日の歌は1曲で終わらず、「Parabéns pra você」の後に「É pique é pique」「É hora é hora」と続く別の祝い歌が歌われます。その後、「Primeiro pedaço」という儀式で主役が最初のケーキを一番大切な人に渡し、さらに主催者が参加者への感謝や今年の抱負を簡単に述べてから、ようやくケーキを食べ始めます。 ブラジルの誕生日パーティは、祝うシーン自体が非常長く、日本と比べて“誕生日”という日をしっかり祝う文化だと強く感じました。 会場全体の盛り上がりも想像以上で、まさに“お祝いの場をみんなで楽しむ”というブラジルらしい雰囲気に圧倒されました。自分も11月に誕生日を迎えるので、せっかくならブラジル流のスタイルでパーティを開催し、この文化を自分自身でも体験してみたいと思います。 【総括】 留学生活は楽しいことばかりではなく、思いがけない困難もありますが、その一つひとつが貴重な経験になっています。友人との交流や授業でのディスカッションを通じて、言語力やコミュニケーション能力、異文化理解も着実に広がっているのを感じます。 健康面では予期せぬ病気を経験し、異国での生活におけるリスク管理や、迷わず助けを求めることの大切さを学びました。この経験は、今後の生活や留学での判断にも大いに役立つと感じています。 今後は、より積極的に現地の文化や社会を体験し、授業や日常生活で得られる学びを最大限に活かしていきたいです。心身の健康と余裕を大切にしながら、留学生活を充実させる努力を続けていきます。

住居形態
アパート
無線LAN(Wi-Fi)
月額費用
ブラジル レアール
26.558円
内訳 費用(現地通貨) 日本円換算
家賃 800 21,246円
水道光熱費 0 0円
学費・教材費 0 0円
交通費 387.77 10,298円
通信費 38 1,009円
食費・その他 5,245.94 139,322円
合計 6,471.71 171,875円
授業編
Português para estrangeiros
外国人向けポルトガル語
語学(地域言語)
720分
今月は、Ser動詞、Ter動詞、Estar動詞など、初級レベルの基本文法を復習しました。授業では、学んだ文法を用いて「自分自身のこと」や「隣のペアのこと」を紹介し、先生に指名された学生から順番に発表する形式で進められました。受講生の中にはポルトガル語を一から学んでいる学生も多いため、授業は基本的にポルトガル語で進めつつ、必要に応じて英語で補足が加えられるなど、レベルに応じた工夫がなされています。内容自体は基礎的ですが、忘れていた単語や表現を思い出す機会となり、ブラジル人の先生ならではの自然な言い回しや表現のニュアンスについても学ぶことができました。発表の順番を待つ間に自分の文章を整理することで、正確な文法を意識しながら話す練習にもなり、理解の定着に非常に役立ちました。
Iniciação ao futebol
サッカー基礎(座学)
講義(地域言語)
720分
今月は、若手アスリートの育成に関する理論と知識を学び、スポーツにおける「才能」とは何か、また良い才能を育てるための環境や適切な課題設定のあり方について議論しました。授業では、元ブラジル代表のカカやカフーが世代別代表に選出されなかった事例が紹介され、後天的に発揮される才能の可能性について考えるきっかけとなりました。また、現在の身長や一時的な成果のみを基準に選手を評価する指導者の下では、本来の潜在能力や将来性が見過ごされ、時には潰されてしまう現状についても議論が行われました。これらの学びを通じて、選手育成においては短期的な成果にとらわれず、長期的な成長の可能性を見極める視点が重要であることを実感しました。授業での事例や議論は、理論だけでなく実際の現場での指導や評価に関する理解を深めるうえでも非常に有意義でした。
Photography I
写真Ⅰ
講義(地域言語)
720分
今月の授業では、講義で学んだ技法を実践的な撮影を通して表現することが中心に行われました。具体的には、Diafragma(絞り)、Velocidade = Exposição(シャッタースピード=露出時間)、Sensibilidade = ISO(感度)など、写真を構成する基本的な要素とその役割について学びました。授業の後半の2時間では、これらの機能を活かした撮影実習を行い、制作した写真をGoogle Classroomに提出する形で進められました。理論と実践を組み合わせることで、絞りやシャッタースピード、ISO感度の設定が作品の仕上がりにどのような影響を与えるかを具体的に理解することができ、基礎技術の確認や応用力を高めるうえで非常に役立ちました。
Anthropology: Individual and Culture
文化人類学:個人と文化
講義(地域言語)
720分
今月の授業では、François Laplantine 著『Aprender Antropologia』(2003年)を教材として、文化人類学の成立過程と基本的な考え方を学びました。特に第1章と第2章冒頭を中心に、近代以前の西洋社会が「他者」をどのように捉えてきたかが議論されました。授業では、新大陸に住むインディアンたちが初期には「野蛮人」として否定的に描かれた一方、時代が進むにつれて「善良な自然人」として理想化されるようになった事例が紹介されました。この変化は、西洋社会の歴史的背景や自文化を客観視する視点の影響を示しており、異文化理解における価値観の変容を理解する上で重要であると説明されました。全体を通して、授業は単なる歴史的事実の紹介にとどまらず、文化人類学がどのように形成され、異文化を理解するための視点が具体的事例を通して発展してきたかを学ぶ構成となっていました。