初めて日本を出てから2週間が経った。 私が滞在しているウォルター夫妻の家はSUNRISEという住宅街の一番隅にあり、私の実家の倍以上の大きさがあるその家は、三分の一が杉の木の影に隠れていて、家の全貌を確認するのは難しい。この一帯にある家のほとんどは穏やかな暖色系の外装をしており、この家も例に漏れずベージュと茶色のレンガで外側を覆っている。 ホストファミリーはとても親切な人達だ。「ホームステイの受け入れはビジネスだ」という衝撃の事実を胸に留めておいた私は、その親しみのある接し方に少々拍子抜けしてしまったほどである。学校のオリエンテーションが始まる前日、犬の散歩を兼ねて皆んなで近くのハイキングコースを歩き、その先にある広場をぬけて海に出た。向こう岸には漁に出る船が何艘も停まっていた。一家の主人であるボブが「この先を真っ直ぐ行くと日本だ」と丁寧に説明してくれた。母国を恋しがるにはまだ早かったが、その一言が私はとても嬉しかった。 家には私の他にもう一人、マカオからの留学生が滞在している。彼女は、私と同じ大学の語学コースに通っており、お互いに英語が流暢でない私達は、雑音の多い中では意思疎通が難しくなることが少なくない。例えば、彼女がrestという単語を言い、私が聞き取れなくて彼女に聞き返す、それが二回繰り返される。彼女がr-e-s-tと一つ一つスペルを言い、私がやっと理解する。ついで、私はそんな簡単な単語を聞き取れなかったことを恥じ、彼女も伝えられなかったことを恥じる。しかし、そのひとつひとつの動作を私はこの上なく愛おしく思うのである。 留学生活2週間目、私はすでに愛すべき人達に囲まれている。
内訳 | 費用(現地通貨) | 日本円換算 |
---|---|---|
家賃 | 0円 | |
水道光熱費 | 0円 | |
学費・教材費 | 68 | 6,941円 |
交通費 | 10 | 1,021円 |
通信費 | 0円 | |
食費・その他 | 14.25 | 1,454円 |
合計 | 92.25 | 9,416円 |