月次報告書 2024-04
プロフィール
学科
イベロアメリカ言語学科
学年
4年
専攻
ブラジル・ポルトガル語専攻
留学期間
2024-03-01 ~ 2024-07-31
留学種別
交換
生活編
騒音、野良犬、ストライキ

【目次】 ①滞在先 ②大学 ③アクシデント ④アドバイス ⑤感想 【①滞在先】  多少の不満はあれど寮での生活にはそれなりに慣れてきたのだが、ここ最近で唯一ストレスとなっていたのが、就寝時の騒音である。寮の規則では二十三時以降は静かにしなければならないのだが、夜中の話し声がとてもうるさくてとても寝付けない。廊下で談笑していた同僚たちに直接静かにするように言ったのだが、ほんの少しの間ひそひそ話すだけで、すぐに騒がしくなってしまうのだから仕方がない。深夜ににテレビの音量を四十六にしてアニメを観ていた者や、大声で会話しながらピアノをチャラチャラと鳴らしている者もいたが、文句を言っても変わらないなら自分が変わるしかないとのことで、アマゾンでアイマスクと耳栓を購入し、ようやく平穏な睡眠が戻ってきた(それでも耳栓を貫通してくる騒音には時折苦しんでいる)。  ある日の昼過ぎ、近くのパスタ屋で腹を満たした私は、昼寝をするために寮の自室へと向かっていた。部屋のドアノブに手をかけ一歩踏み出した瞬間、そこにルームメイトと顔見知りの女性がベッドの上で一緒に寝そべっている姿を目撃した。どう反応していいのか分からず固まっていると、向こうのほうからぎこちない笑顔で挨拶してきた。女性が慌てた様子でその場を後にすると、部屋には私とルームメイトの二人きりになった。詳細は省くが、その後の気まずさといったら、これは皆さんの想像にお任せしたい。先月の報告書でも書いた通り、寮の規則では寮内での恋愛および異性の部屋への進入が禁止されているのだが、やはりルールに従っている者はほとんどいない。 【②大学】  ブラジリアに到着した三月中旬の時点で大学は軽いストライキ状態にあったのだが、のちに大学内での正式な承認を受けて、今月中旬より本格的なストライキが始まった。履修している授業四つのうち継続しているのはポルトガル語の授業のみで、それ以外は完全に中断されてしまった。大学の図書館も三月の時点から閉鎖されており利用できない状態である。  ブラジリア大学には数多くのスポーツ活動があるのだが、私は特に格闘技に興味があったため、ブラジリアン柔術のクラブに参加してきた。基本的にはインスタグラムでクラブのアカウントにダイレクトメッセージを送り、実際にトレーニングに参加するだけなので、特に入部届を提出する必要はない。ポルトガル語で新しいことを学ぶのはとても大変だが、先生や練習仲間が親切に教えてくれるおかげで、楽しみながらトレーニングすることができている。私は性格上あまり初対面の人と話すのが得意ではないのだが、「日本から来た」と言うと皆興味を持って話を聞いてくれるので、特に孤立することなく和気藹々とした雰囲気でトレーニングに参加することができる。これからも練習仲間と親睦を深め、柔術の技術を磨いていきたい…と思っていたのだが… 【③アクシデント】  ある日の朝、寮の門を開けようとしたところ、数頭の大型犬がホームレスの住むテントに戻っていく姿を発見した。裏門周辺が少し危険であることを理解していたにもかかわらず、授業に遅刻しそうだったこともあって少し迷ったあとに扉をくぐってしまった。寮には表門と裏門があり、裏門を通るルートはより短い時間で学校に到着することができるのだが、ホームレスが点在していたり、夜は道がかなり暗かったりと、治安の面で不安の多い道のりとなっている。しかし私は時間を節約するためいつも裏門から通学していた。車道沿いの歩道を目指し草むらを歩いていたとき、先ほど家に戻ったはずの大型犬五匹ほどが私の存在に気づき、こちらをじっと凝視していた。かつて野良犬に噛まれたという寮の友人の話を思い出し、「やられる前にやらねば」という感情が芽生えた私は彼らを威嚇するために両手を大きく広げ一つ吠えた。その瞬間、彼らは怒り狂ったかのようにバウバウと声を上げ、こちらに向かって全速力で走り出した。「考えるより先に体が動いていた」とはこのことかと、某漫画のセリフを思い出しつつ、生命の危機から逃れるため全速力で草むらを駆けた。当然ながら運動不足の大学生が犬の俊敏なスピードに勝てるわけもなく、とうとう追いつかれてしまった。背負っていたリュックをぶんぶんと振り回しながら格闘していたが、彼らの圧に押されてバランスを崩してしまい、二頭ほどに脚を噛まれてしまった。「狂犬病って発症したら致死率百パーセントだよな…」と嫌な予感が頭をよぎり、まだ死にたくないという一心で彼らを振り払い、なんとか車道に飛び出た。そのとき、ちょうど目の前を通りかかった車に轢かれそうになったのだが、運転手がクラクションを鳴らしてくれたおかげで、野良犬たちはビビって走り去っていった。一命を取り留めた私は、ルームメイトに電話をかけ車で迎えに来てもらい、寮に帰った後はシャワーで傷口を洗い流して保健所へと向かった。今月だけでもすでに三回狂犬病ワクチンを接種した。 【④アドバイス】  月初めにRNM(Registro Nacional Migratório/外国人登録)を申請しに空港のすぐ近くにあるPolícia Federal(連邦警察)に行った。待ち時間は確か一時間ほどで、それほど待つことなく手続きを済ますことができた。申請時に必要な書類として証明写真が挙げられているが、手続きの際に職員がカメラで撮影してくれるため、事前に写真屋に行く必要はない。RNMの番号は当日中に取得できるが、カードが届くまでは通常約三か月かかるためブラジルに到着したらなるべく早めに申請することを勧める。  最初の週末には寮の人たちとブラジリアの観光スポットを回った。Torre de TV(テレビ塔)、Museu Nacional(国立美術館)、Catedral Metropolitana(ブラジリア大聖堂)、Congresso Nacional(国会議事堂)など有名どころは一日あれば一通り観光することができる。別日にはCCBB(Centro Cultural do Banco do Brasil)の展示や青いステンドグラスで知られているSantuário Don Bosco(ドン・ボスコ大聖堂)にも訪れた。個人的にはTorre de TVから一望できる眺めが広大で美しく、将来ブラジリアに来る留学生にはぜひ訪れてほしい。 【⑤感想】  騒音に悩まされ、授業にはついていけず、ルームメイトの浮気現場を目の当たりにし、野良犬に襲撃され、大学はストライキに入るなど、まさに踏んだり蹴ったりの一か月間だった。人間は不幸なことに目を向けがちだが、改めて振り返ってみるとそれなりに楽しいこともあったように感じる。大学では新しい友人が何人かできたり、寮の住人や留学生仲間と距離を縮めたり、少しずつ新しい環境に慣れてきている実感がある。これからも適度に休むことを忘れずに、興味や関心のあることには積極的に挑戦していきたい。また、中旬には国際戦略部の方とストライキの件についてZoomでミーティングを行い、ストライキが数か月に渡り長引いた際は日本に帰国しなければならないことや、万が一を考えてサンパウロ大学への転学が可能であるとの説明を受けた(今回のストライキはブラジル全土の連邦大学で行われており、USPは州立大学であるためこの対象から外れている)。これからも大学の動向に注視しながら、じっくりと考えていきたい。

住居形態
学生寮
無線LAN(Wi-Fi)
月額費用
ブラジル レアール
26.2426円
内訳 費用(現地通貨) 日本円換算
家賃 1,125 29,523円
水道光熱費 0 0円
学費・教材費 0 0円
交通費 293.05 7,690円
通信費 79.93 2,098円
食費・その他 3,169.9 83,186円
合計 4,667.88 122,497円
授業編
PORTUGUESE FOR FOREIGNERS 2
外国人のためのポルトガル語 2
語学(地域言語)
770分
今月の授業では主に接続法について学んだ。二年生の時に文法の授業で既に学んだ内容であったが、意外と間違えが多いことに気づいた。先生が宿題や配布資料の問題について生徒3人を順番に指していき、分からないことがあれば適宜質問することができた。