月次報告書 2024-05
プロフィール
学科
イベロアメリカ言語学科
学年
4年
専攻
ブラジル・ポルトガル語専攻
留学期間
2024-03-01 ~ 2024-07-31
留学種別
交換
生活編
ブラジリアで最も呪われた日本人

【目次】 ①滞在先 ②大学 ③旅行 ④アドバイス ⑤感想 【①滞在先】  三月にブラジリアに到着したときは夕方になると必ず雨が降っていたのだが、五月に入ってからは快晴以外の日を知らない。洗濯物を干すタイミングを考えずに済む上に、よく乾くのでとてもありがたい。早朝に寮の同僚と近くの自然公園までランニングに行ったり、暇な時間にピアノ(電子キーボード)を弾いたり、また休日にはFestival do Japão(ブラジリア日本祭り)やJungle Fight(南米最大級の総合格闘技団体)に行ったり、ストライキ期間の楽しみ方を少しずつ覚えてきている。ずっと寮内にいると気分も落ち込んでしまうので、なるべく外出したり運動したりしてメンタルを保つように心がけている。 【②大学】  ストライキが始まってから一ヶ月が経過したが依然として状況は変わらず、ポルトガル語の授業を週二回受けるだけの留学生活を送っている。 【③旅行】  大学がストライキに入り一足早い冬休みのような日々を過ごすことになった私は、日本にいたときからずっと訪れたいと思っていたパラナ州クリチバまで旅行することに決めた。今回は長距離バスを利用したのだが、ブラジリアからサンパウロまで十七時間、サンパウロからクリチバまで七時間かかった。ブラジルの長距離バスは目的地に一時間早く着くときもあれば、二時間遅れることもあるので、到着時間はあまりあてにしないほうが良い。また、街を抜けると基本的に電波が通じなくなるので、バスの中で観たい映画は事前にインストールしておくことを勧める。座席の座り心地は想像以上に快適で、旅の始まりに疲れを溜めずに済んだ。  クリチバに到着してからは二泊三日で約100レアル(約3,000円)のリーズナブルなPousadaに宿泊した。安いだけあり、部屋は二段ベッドが四つ置いてある窮屈な八人部屋であったが、幸いにも宿泊者は私を含め三人のみであった。翌日からはPraça do Japão、Jardim Botânico、Catedral Basílica de Curitiba、Parque de Bariguiなどの観光スポットを巡り、ブラジル到着後初の旅行を満喫した。  クリチバでは夜になるとUberでタクシーが拾えなくなるので、予め99(タクシーアプリ)をインストールし決済方法などを登録しておくと役に立つ。日本のクレジットカードはブラジルのサイトやアプリではよくはじかれるので事前に確認しておくと良い。  サンパウロに戻ってからはサンパウロ大学(以下、USP)に留学中のKUISの友人と三か月ぶりに再会した。当日彼は授業があったため、半ばもぐりのような形で学校に行き授業を受けた。授業後はUSPのほかの日本人留学生たちや日本語専攻の生徒たちと知り合い、一緒に学食で昼食をとった。USPへの転学を検討している身として、実際に大学に足を運びいろいろ見て回れたことはサンパウロでの留学生活を具体的に想像するのに役立った。その晩は友人の家に泊り、翌日はLiberdadeに行きラーメンをすすった。久しぶりに質の高い日本食にありつけたことに大きな満足感を覚えつつ、次の目的地である移民資料館へと向かった。日本にいたときに授業で勉強していたことと関連付けながら鑑賞することができたので、歴史が苦手な私でも意外と楽しめた。  Rodoviária(バスターミナル)で友人に別れを告げバスに乗り込んだ瞬間、旅の疲れがどっと押し寄せた。売店で購入したパンを食べ尽くし、すっかり眠くなってしまった私は、座席を倒して早めに休むことにした。  夢の中から引きずり出されたのは深夜の三時四十分。肩を軽く叩かれ目を覚ますと、目の前には運転手らしき男性が立っており、ほかの乗客は一切見当たらなかった。状況をうまく飲み込めずにいると、彼は「バスが故障したから、ほかのバスへ移ってくれ」と言った。荷物をまとめて前方に停車しているバスに移ると、少しの不安を抱えて再び眠りについた。  日は昇り、そして暮れ、あと二時間ほどでブラジリアに到着する地点まできたところで、妙なことに気がついた。マップ上に表示されていた現在地が、明らかにブラジリアへの道のりから外れていたのだ。嫌な予感が頭をよぎり、隣に座っていた乗客にバスの目的地を聞くと、なんとブラジリアではなくマットグロッソ州クイアバに向かっていることが判明した。最終的に州境の手前で下車して、深夜まで独りでバスを待ち、ゴイアニアを経由して昼頃に無事にブラジリアに到着した。ふつうサンパウロからブラジリアへはバス一台で約十八時間ほどで到着するのだが、今回はバス四台で合計四十四時間かかった。 【④アドバイス】  旅行を計画する際、バスを利用するなら約二週間前、飛行機を利用するなら約二か月前にはチケットを購入することを勧める。特に航空券は価格の変動が激しく、数日経つだけで倍の値段になることもある。ブラジルの長距離バスは基本的に座席の充電器が故障しているので、モバイルバッテリーを必ず持参したほうが良い。また、車内はかなり冷房が効いているため少し厚めの上着も持ち物リストに加えてほしい。バスのトイレは非常に汚いが、そこはもう慣れるしかない、というよりいつか慣れる(ブラジル人男性はバス内のみならず寮や学校でもトイレを流さない人が本当に多い)。  ブラジルでは物乞いが非常に多く外出するたびにお金をせびられるが、たとえ彼らが怖くても、かわいそうに見えても、しっかり断らなければならない。中には言葉巧みに話を進めたり、しつこくつきまとってきたりする者もいるため、堂々とした姿勢でNÃOと言えるようにしよう。 【⑤感想】  私はおそらくブラジリアで最も呪われた日本人なのではないだろうか。少なくとも、日本人留学生の中ではそうだろう。不運は続くもので、今月も先月と同じく苦労の絶えない一か月となった。一般的に留学の魅力といえば「言語能力の向上」や「異文化体験」であるが、私は「自分の取り扱い方が上手になる」ことこそが留学における最大の収穫であると考えている。物事が思うようにいかないとき、アクシデントに巻き込まれたとき、等身大の自分を知ったとき、そこで初めて自身の人間力が試される。「ストライキのせいで留学のスタートが台無しだ」「深夜にバスが故障するなんて最悪だ」「みんなの話してること全然分かんない...私のポルトガル語はダメダメだ」と考えるよりも「ストライキのおかげで一足早い長期休みを満喫できる!」「このトラブルもきっと良い経験値になるはず!」「一年間でどれだけポルトガル語の能力を向上できるか楽しみ!」と考えたほうが素敵ではないだろうか。同じ物事でも捉え方によってまったく印象が違う。「自分の取り扱い方」を知ることはモチベーションやメンタルを保つことに役立ち、精神的に安定した状態で日々を過ごすことは、悩みや不安の多い留学生活を乗り切るために必要不可欠である。

住居形態
学生寮
無線LAN(Wi-Fi)
月額費用
ブラジル レアール
24.4804円
内訳 費用(現地通貨) 日本円換算
家賃 3,037 74,347円
水道光熱費 0 0円
学費・教材費 0 0円
交通費 369.53 9,046円
通信費 131.59 3,221円
食費・その他 3,460.94 84,725円
合計 6,999.06 171,339円
授業編
PORTUGUESE FOR FOREIGNERS 2
外国人のためのポルトガル語 2
語学(地域言語)
990分
今月は主に接続詞について学んだ。二年生の時に文法の授業で習ったもの以外に、多くの表現を身につけることができた。例えばJá que(今となっては〜なので)、que nem(〜のように)、se bem que(〜ではあるが)などの使えると表現の幅が一気に広がるものをたくさん吸収することができた。