【① 気候、衣服】 7月に入り、気温は徐々に下がってきました。平均気温はおよそ17℃前後で、日中は20℃を超えることもありますが、夜間は13℃程度まで下がるため、ジャケットがないと肌寒さを感じます。 天候は、先月までに比べて曇りがやや増え、7月末には嵐のような暴風雨と雷雨に見舞われる日もありました。 朝晩には吐く息が白くなることもあり、今まさにブラジルの冬を過ごしているのだと実感しています。 【② 学校生活と授業】 学校生活は特に大きな変化もなく、落ち着いて過ごしています。先月行われた文化人類学のテストが返却され、9割を獲得することができました。資料の閲覧が可能な形式だったため難易度は高くありませんでしたが、数字として成果を残せたことは、これまで「本当に成績が取れるのだろうか」と不安を抱きながら履修していた自分にとって、大きな安心材料となりました。 一方、外国人向けポルトガル語の授業では、授業内容自体は変わらないものの、徐々に自国へ帰国する生徒が出始めています。開講当初は15人ほどいた教室も、今では10人ほどに減りました。留学が始まってまだ2か月ほどですが、せっかくできた友人との別れを経験することになりました。 帰国する生徒のために先生がケーキを用意してくださり、授業後に皆でケーキを食べ、写真を撮り、ブラジルの国旗にメッセージを書くなど、小さな送別会を開くことができました。自分自身もあと数か月すればブラジルでの生活が終わってしまうのだと実感し、少し切なさを覚えました。 【③ 食事】 先月サンパウロに行った際に購入した調味料を使い、さまざまな日本食を作っています。豚骨ラーメンやすき焼き、豚カツ、寿司、しゃぶしゃぶなど、3ヶ月ぶりに本格的な日本食を味わうことができ大変感動しています。 日本とは異なり、牛の薄切り肉の取り扱いがなかったり、肉の質が違ったりするため、完全に同じ味を再現することは難しいですが、工夫を重ねることでできる限り近づける努力をしており、自分の料理の腕前向上にもつながっています。 日本の調味料が揃ったことで、留学経験のある学生たちと日本食パーティを開くこともでき、食生活は非常に充実しています。また、スーパーよりも 安くて融通の効く地元のAçougue(精肉店)で肉を購入するように心がけており、現地のスタイルを取り入れながら生活するようにしています。 【生活】 イグアスの滝旅行 30時間のバス移動 先月、日本人の会で仲良くなったサンパウロ大学に留学中の学生達と一緒に、イグアスの滝へ旅行する事になりました。 サンパウロ組は市内に大きな空港があるため飛行機で向かうことになったですが、私の住むジュイス・ジ・フォーラにも空港はあるものの直行便はなく、仕方なくリオデジャネイロ経由でイグアスに向かうことになりました。 旅程を考えている際、以前日本人の会にいらっしゃった駐在員の方が「若い頃はバスでブラジル中を旅していた」と話していたエピソードを思い出し、「ここで若気の至りを出さなければいつ出すのか」と決意した私は、リオからの飛行機利用をやめ、計30時間に及ぶバスルートを選択しました。 旅行当日、出発は午前3時。前夜23時まで友人宅で誕生日パーティをしていた私は、わずか3時間の睡眠で片道1,600kmというこの狂気の長距離のバス旅行に臨みました(もちろん復路もバスです) バスの旅は、ミナスジェライス州からサンパウロ州、パラナ州を横断する長距離の道のりでした。 建物一つない広大な自然が果てしなく続き、日本では経験できない、国土の広いブラジルならではの壮大さを肌で感じました。 各所で休憩のために停車するたび、飛行機で移動していたら出会うことのなかったであろう小さな町や風景を見たり通ったりすることができ、バス移動ならではの醍醐味を味わいました。 飛行機のほうが早くて便利ではありますが、不便だからこそ得られる経験の貴重さもあり、費用を抑えられる点でも魅力的でした。 とはいえ、さすがに丸一日以上の移動ということもあり、何度眠っても到着せず、節約のために最も安いシートを選んだこともあって、リクライニング範囲は限られスペースも広くはなく、体力的にはやや大変でした。 それでも身体を痛めることなく、無事に最終目的地のフォズ・ド・イグアスに到着し、皆と合流することができました。 宿泊トラブル 初日は昼頃に到着し、翌日に備え午後をゆっくり過ごすためにAirbnbに向かいましたが、チェックイン時にトラブル発生。宿の外にあるキーボックスに鍵が入っておらず、入室することができませんでした。結局、約30分後にオーナーが到着し対応してくれましたが、滞在中は定期的にブレーカーが落ちたり、シャワーが冷水しか出なかったり、エアコンが使えなかったり、寝室の電線が屋根裏の動物にかじられて使えなくなったりと、日本では考えられないトラブルが次々と発生しました。サンパウロのような都市部以外での旅行は初めてだったため、これまで順調だったブラジル生活の中で、初めて本格的なブラジルの洗礼を受けることになりました。 (後日、滞在中トラブルが多発したため、オーナーに交渉して宿代を値下げしてもらうことができました。) イグアスの滝へ イグアス旅行2日目、タクシーとバスを乗り継ぎ、ようやくイグアスの滝のある公園に到着しました。本命の滝に向かって歩く道中にも大小さまざまな滝があり、数え切れないほどの虹がかかっていました。人生で初めて、虹の端から端までくっきりと広がる光景を目にし、その美しさに圧倒されました。目的の大滝に着く前から、息を呑む景色が続き、感動と大興奮で胸がいっぱいになりました。 本命の滝に到着すると、台風のような勢いで襲いかかる水飛沫と轟音が響き渡り、その凄まじさに心を打たれました。 私たちは河童を着用し完全防備で臨んでいたため問題ありませんでしたが、普通の格好やジーンズで訪れている方達もおり、彼らはどうやって帰るのかと少し心配になるほどでした。 圧巻のスケールを持つ滝は、人間では到底コントロールできないような大自然の力を見せつけ、世界遺産且つ世界三大瀑布に数えられるだけの価値を実感させられました。これまで人生で訪れた場所の中で、最もインパクトがあり、感動的な体験となりました。現地のガイドさんによると、この日の水量は通常の3〜4倍で、まさに絶好の観光日だったそうです。 滝突っ込みツアー その後、来た道を戻り、1時間の山道ハイキングを経て川に降り、先ほど見た滝に突っ込むボートツアーに参加しました。川を逆流しながら滝に向かう最中は、船体が激しく揺れ、水を被ったり、くるぶしを超える高さまで水に浸かる場面もありました。しかし滝の真下に到着すると、上から見た景色とはまた違い、その威力に恐怖を覚えるほどの圧巻の迫力。 全員が歓声を上げて大興奮し、自然の圧倒的な力を全身で体感できる、まさに貴重な体験となりました。 アルゼンチン側へ 初のアルゼンチン入国 アルゼンチンに入国するにはUberは利用できず、バスで国境まで移動して入国手続きを済ませ、その後再びバスに乗って国内に入りました。 手続き中は、ブラジルから入国しているにも関わらずスペイン語でしか話しかけられず、理解するのに苦労しましたが、何とか入国することができました。てっきりパスポートにアルゼンチンのスタンプがもらえると思っていたのですが、手に入らず少し残念でした。 それでも、島国の日本では経験できない飛行機以外で国境を跨ぐ体験に、新鮮さを覚えました。ただし、景色自体はブラジル側とほとんど変わらず、あまりアルゼンチンに入った実感はなかったのが正直なところです。 悪魔の喉笛 アルゼンチン側のイグアスの滝で最も有名なスポット「悪魔の喉笛」へは、アマゾン川のように広大で茶色い川の上にある一本橋を歩き続けることで辿り着きます。アルゼンチン側では滝口の真上ギリギリまで近づくことができ、まるで濁流に飲み込まれてしまいそうな感覚を覚えました。 ブラジル側では、滝が流れ落ちてくる水を横や下から眺める形になりますが、アルゼンチン側では滝の上流の川をほぼ水平な目線で見ており、その川が滝口に吸い込まれていく様子を目の当たりにすることができます。滝口の上側に立つことで視点の違いを体感でき、また別の迫力を味わうことができました。 落下の勢いで舞い上がった水は雨のように降り注ぎ、凄まじい轟音を立てていました。ブラジル側にも負けない迫力に、圧倒されると同時に感動しました。 鳥公園 最終日は Parque das Aves(鳥公園) を訪れました。 この公園の最大の特徴は、鳥を一般的な動物園のように檻越しで観察するのではなく、観光客が鳥たちのいるドーム内に入り、至近距離で観察できる点です。国鳥のトゥカーノやオウム、インコ、ハチドリなど、美しい羽毛を持つ鳥たちを間近で見ることができ、その鮮やかさに思わず感動しました。 さらに、各エリアには巨大なパネルが設置されており、顔をはめて遊んだり、パネルの羽に合わせてポーズを取ったりすることもでき、とても楽しかったです。写真撮影が趣味の私にとって、檻越しではなく自由に鳥たちを撮影できるのは、これ以上ない幸運であり、貴重な体験となりました。 日本祭りと友人との別れ このイグアス旅行を終え、この数日間の貴重な体験を胸に帰路につきました。帰宅後、サンパウ口で日本祭りが開催されると聞き、異国の地で開催される自国のお祭りを体験したいと思い、イグアス旅行終了から中1週間で再び週末にサンパウロへ向かいました。 会場のサンパウロエキスポセンターには、北海道から沖縄まで各都道府県(一部を除く)のご当地料理の屋台が並び、大盛り上がりしていました。 来場者数の多さで移動が大変な程でしたが、日本文化が異国でこれほど広く受け入れられていることに改めて感動しました。お好み焼きやカツ丼、抹茶ソフトなど、久しく味わっていなかった日本食に触れ、大満足でした。さらに、屋台の人手不足で急遽サンパウロ大学の友人に誘われ、埼玉県の屋台で餃子を焼くボランティアをすることになったり、在外公館派遣員としてサンパウロに勤務している先輩と一年越しに再会できたりと、参加の価値が非常に大きいイベントでした。 そしてこのタイミングで、約半年のサンパウロ大学への留学を終えた大阪大学の学生たちが帰国日を迎えました。 最後のシュハスコパーティや空港での別れでは、大勢の友人とともに涙を流しながら別れを告げました。 友人の帰国により、自分の留学生活もいずれ終わるという実感を再び抱き、残りの半年間で何を残せるか、何ができるかを改めて考えるきっかけになりました。 【総括】 7月は、自分にとってまさに“濃密”という言葉がふさわしい一か月となりました。冬の訪れを肌で感じながら、日常の学びや生活の充実、非日常的な冒険や異文化体験が入り混じり、これまで以上に多面的な経験を積むことができました。友人とのパーティや交流を通して生活も豊かになり、文化的な発見や気づきも多く得られました。 イグアスの滝への旅は、言葉では表せないほどの圧倒的な体験の連続でした。滝の轟音や濁流に飲み込まれそうな迫力、そして最終日の鳥公園で美しい鳥たちを間近で観察した瞬間、どれもが人生で忘れられない体験となりました。 7月を通して、学び、生活、旅、友情、異文化体験——すべてが繋がり、自分自身の成長を実感できた一か月でした。心も体も全力で動かし、充実した特別な時間を過ごせたと改めて感じています。
| 内訳 | 費用(現地通貨) | 日本円換算 |
|---|---|---|
| 家賃 | 800 | 21,247円 |
| 水道光熱費 | 0 | 0円 |
| 学費・教材費 | 0 | 0円 |
| 交通費 | 1,500 | 39,837円 |
| 通信費 | 70 | 1,859円 |
| 食費・その他 | 2,500 | 66,396円 |
| 合計 | 4,870 | 129,339円 |