12月31日、2015年最後の日です。2日前にカナダ旅行から帰って来たばかりの私は、まだ足にかすかな痛みを感じながら、それでも大晦日に家で引きこもるわけにはいくまいと、市営バスを乗り継ぎダウンタウンへと向かいました。特にこれといった用事があったわけではありませんが、大晦日のダウンタウンなのだから行けば何か面白いものがあるだろうという軽い気持ちでした。まずはじめに向かったのは、スペースニードル付近のEMPミュージアム。鉄製のパネルが張り合わされたような不恰好で大きな建物は、観光地となっているこの付近でも一際目立つ存在ですが、実際に中を見るのは今回が初めてです。ロックバンド・ニルヴァーナ展や、ハロー・キティ展、SFの世界展、ゲームの進歩展と、数多くの展覧会がこの建物の中で催されています。これといって興味をそそられるものはありませんでしたが、退屈しのぎに20ドルの入場料を払い、中へ入ることにしました。まず向かったのは、地下で開催されているSFの世界展。宇宙船をイメージした薄暗くて機械的な雰囲気の部屋に、過去のSF映画で実際に使用された小道具が展示されています。入り口でまず目に入るのは、『ターミネーター』のT-800、続いて『スター・ウォーズ』のライトセーバーです。それから、『ゴーストバスターズ』のプロトンパックや、『ブレード・ランナー』の衣装など、あまりSF映画に詳しくない私でも思わずテンションが上がってしまう代物ばかりでした。そんななか、ピンク色の物体が1つ、私の目に飛び込んできたのです。開いた口が塞がらないとはまさにこのことを言うのでしょう。そこにあったのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー part2』で使用されたホバーボードでした。私は叫びたい衝動を必死に堪え、ゆっくりとそこへ近づいて行きました。果たしてこれは本物なのかと、にわかに信じがたい気持ちで見つめていると、ちょうど横のパネルには"used by Michael J. Fox as Marty McFly"の文字が。間違いありません、これがあのBTTF2の撮影で実際に使用されたホバーボードです。私の目の前にあるこの板の上に、あのマイケル・J・フォックスが乗ったのです。私は、胸の鼓動が高まるのを感じつつ、2015年最後の日に私をここへ導いてくれた何か見えない力に心から感謝しました。初めて間近で見るホバーボードは、私が想像していたものよりも手作り感があり、貼り合わせた紙の横には鉛筆の下書きが残っていました。そこに見えたのは、架空の2015年の世界ではなく、映画を作ることに命を注いだ1989年の人々の想いでした。
内訳 | 費用(現地通貨) | 日本円換算 |
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家賃 | 0円 | |
水道光熱費 | 0円 | |
学費・教材費 | 0円 | |
交通費 | 20 | 2,041円 |
通信費 | 0円 | |
食費・その他 | 200 | 20,414円 |
合計 | 220 | 22,455円 |